ごめんね

 

 

仕事をしていると色々な生き物が工房にやって来る。

 

今夜はアブだ。

 

昆虫は大好きだけれど、こいつにさされると硬く腫れて猛烈にかゆい。

 

 

 

扉を開けていてもなかなか出て行かない。

 

仕事に没頭したいけれど、そこを狙って奴は必ず刺しに来るに違いない。

 

作業台の端に止まったところを長〜いプラスチックの定規で(気絶しない程度に)軽く叩き外に追いやろうとした。

 

 

 

「ペン!」

 

 

 

慌てて逃げるが外には行かない。

 

 

 

 

ありゃ? 

 

よく見ると彼の左手らしきものが作業台の上に...。

 

方向が狂って定規と作業台の間に一瞬彼の前足が挟まってしまったのだ!

 

 

 

慌ててマクロレンズを付けたカメラでよーく見てみると、失った左手をこちらに見せ恨めしそうに俺の顔を見ている。

 

 

 

「ごめん〜〜!!そんなつもりじゃ無かったんだ!!」

 

今度は落ち着いて虫取り網で捕獲して逃がした。

 

 

 

最初からこうしてやれば良かったのに、ごめんね。

 

 

可哀想な事をしちゃったな〜。