義父

今朝、妻の父が亡くなった。

半年近く入院していたが、ついに力尽きた。

昨夜の巡回の時には通常と変わらない様子だったが
朝の巡回のときには既に呼吸をしていなかったそうだ。

入院していた病院は隣の東村山市に有る。

車に妻と娘を乗せ、義母を途中で乗せて病院に行く。

数ヶ月前から意識は無く、胃に直接栄養をいれる胃ろうの処置をしていた。
覚悟をしていたとは言え、一人娘でかわいがられて育った妻と
義母の悲しみは計り知れない。

10代のときに東京に来て中華料理の調理師をしていた職人の義父は
とても明るく無邪気で酒の好きな人だった。

快活だった父にとって最後の闘病生活は堪え難い物だっただろう。
「なぜこうまでして生きなくてはならないんだ!」
声にならないその言葉を何度心の中で叫んでいただろう。

答えの見つからないつらい時期を乗り越えた父。
今は少年の様な顔で寝ている。

義母の希望で告別式は行わず家族だけで荼毘に付す。

 


何もしてやれなかった、何もしてやれない。
そんな想いばかりが空回りする。

夕方、見上げると澄んだ空気が茜色に染まる。
せめて父の旅立った今日の夕焼けを、風景を、写真に納めよう。

カメラと三脚を担いで多摩湖に走った。

子供の頃から大好きなこの場所は全ての感情を包み込んでくれる。

 

 

「おとうさん、お疲れさまでした。」